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当科の診療する主な病気
気管支喘息
⑤ 悪化しないような生活習慣とは?(悪化要因とは?)
吸入治療など、医学的な治療も重要ですが、それだけではなく、喘息に悪い習慣を改めていくことも重要です。
では、1つづつ解説していきます。
1. ストレスをためない。
ストレスは職場や家庭の問題また経済的な問題などが引き金となり、それによって自律神経の乱れなどで体の機能を調節する体内物質のバランスがくずれ様々な病気の悪化を引き起こします。したがって、喘息だけでなく、うつ病や狭心症などの循環器疾患、胃潰瘍などの消化器疾患なども引き起こします。もちろん、ストレスを貯めないように適度な運動や趣味、旅行などで発散することも大切です。しかし、現代社会ではなかなかストレスフルな環境から抜け出さないのも事実です。ストレスで喘息が悪化するようであれば、ステロイドなどの吸入治療をしっかり受け、喘息コントロールをつけることが重要かと思われます。喘息のコントロールが良くなれば、逆にそれがストレスから抜け出せるきっかけになるかもしれません。
2. タバコをやめる。
タバコの煙には約4,000種類の有害な化学物質が含まれるといわれます。これらを吸えば当然、気管支喘息も悪化します。悪化したら、吸入ステロイド薬などで治療すればいいのではと思うかもしれませんが、喫煙で治療薬の効果が悪くなることもわかっております。やめられない場合は、禁煙外来なども受診し、すぐにでも禁煙されることをお勧めします。また、アルコールも気管支喘息の増悪因子の一つですので、飲み過ぎには注意しましょう。
3. よく眠る。
睡眠不足も喘息症状を悪化させる要因となります。規則正しい生活をし、よく眠るように心がけることも大事ですが、仕事や受験勉強、同僚、友人との飲み会などでなかなか睡眠が確保できないのも事実です。そのような場合はしっかりと通院し、また吸入薬などをきちんと使用し、普段から喘息をコントロールすることが重要になってきます。
4. 風邪を予防する。
喘息患者さんの気管支は治療中であっても、様々な刺激に対し過敏状態になっています。したがって、風邪やウイルス感染なども喘息発作の引き金となります。そのため、喘息悪化の原因となる感染症を予防することは非常に重要となります。風邪やインフルエンザが流行する秋から冬にかけては、人ごみを避けたり、マスクをするなど特に注意が必要です。また、インフルエンザワクチンの予防接種を、高齢の方はそれだけでなく、肺炎球菌ワクチンの接種を受けておくと良いでしょう。また、接種の際の副反応も心配とは思いますが、新型コロナウイルスに対しても、可能ならしっかりと2回接種することが望ましいです。
5. 適度な運動をする。
適度な運動は内臓脂肪の減少や筋肉量の増加、心肺機能の向上などによって、長期的には発作が起こりにくくなるといわれております。しかし、運動することでかえって喘息発作を誘発してしまう運動誘発喘息もあるので注意が必要です。この運動誘発喘息を防止するために運動するときは必ずウォーミングアップを行いましょう。運動の5~15分前に気管支拡張薬の吸入(メプチンエアー吸入)も有効なようです。運動強度を下げる必要はありますが、冬場は冷気や乾燥を防ぐ目的でマスクが必要な場合もあります。喘息の方にお勧めなスポーツは水泳をはじめとする屋内スポーツと言われています。屋内ならば比較的温度や湿度が保たれ、埃などの吸入も少ない環境のため、喘息患者さんには適していると思われます。
6. 部屋の掃除をする。
ダニやホコリ、カビ、ペットの毛、花粉などのアレルギー物質は気管支喘息の原因として、大きな割合を占めています。こうしたアレルギーの原因物質(アレルゲン)を取り除くことは、喘息をコントロールする上で有用です。こまめに掃除と換気を行い、空気をきれいに保ちましょう。
部屋の掃除のポイント
アレルゲンとして最も多いのはダニと言われています。布団や枕またクッションなどの布製品はダニの格好のすみかになっています。最も有効な対策はこまめに掃除機で吸い取ることです。布団専用の掃除機ノズルも市販されていますので、試してみてください。またエアコンのフィルターもこまめに水洗いし、なるべく床はフローリングにしましょう。
7. 喘息の自己管理を行う
気管支喘息はかぜなどによって引き起こされる一時的な気管支炎と違って、慢性的な気管支の炎症に伴う病気です。したがって、高血圧の患者さんが血圧手帳に日々の血圧を記録するのと同じように喘息の患者さんも日々の症状や服薬などの記録を付けることが重要です。
前のページでも解説しましたが、当院では、こうした患者さんのために、喘息手帳をお配りしております。
また、喘息がきちんとコントロールされているかどうか自分の状態を知るには、ピークフロー値が役にたちます。
このピークフローは下の絵のような筒状の測定器を咥えていただき、できるだけ速く息を吐き出すことでカウンターが動きます。横には目盛りがあり、このときの値を朝と晩の2回記録していただきます。喘息のコントロールが悪くなると測定値は下がったり、朝と晩で数値の変動が大きくなったりします。このピークフロー値を喘息手帳に記入しましょう。受診時に持参していただければ、主治医が診察時にチェックいたします。
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